急成長するベトナムのEC市場!〜世界から注目されるベトナムのECビジネスを知る

 

コロナ禍で伸びたビジネスといえば、ECが挙げられます。

既に私たちの生活の一部となったECですが、ベトナムのEC市場はどうなっているのかご存知ですか?

経済成長とともにベトナムのEC市場は大きく発展しており、今、世界から注目されている市場なのです。

ベトナムに向けたビジネスを考えるならば、ベトナムのECビジネスを知っておきましょう。

今回は、伸び盛りのベトナムのECビジネスについてお伝えしていきます。

 

急成長中のベトナムEC市場

 

ベトナムのEC市場の規模は、2018年で28億ドル(3,080億円)、さらに2025年までには150億ドルに達すると言われています。ベトナムのEC市場はインドネシアに続く速さで成長しており、2025年までに43%の成長が見込まれています。

 

スマートフォンの普及が進むベトナム

 

ベトナムでは近年急速にスマートフォンやインターネットの普及が進んでいます。

ベトナムにおけるインターネット利用者は約6,872万人。人口の約70%がインターネットを利用していることになります。また、インターネット利用者数は2020年から2021年の1年間で約700万人(+10.8%)増加しています。

 

ベトナムのインターネット事情についてはこちらの記事をご参照ください。

 

🇻🇳ベトナム人集客には何が効果的?〜ベトナムのインターネットとSNS事情を知ってインバウンドマーケティングに活かす〜

ベトナムではインターネットの普及に伴い、EC市場が急成長しています。2019年時点では、15歳以上65歳未満の生産年齢人口のうち78%がオンラインショッピングを利用しています。

 

ベトナムEC市場5つの特徴

 

ベトナムのEC市場には、日本とは異なる特徴があります。ベトナムのEC市場の特徴的な項目を4つご紹介します。

これらの特徴はベトナムの国民性や経済にも関係があります。

 

①支払い方法は代引きがメイン

ベトナムのオンラインショッピングの支払いは、代引きが95%を占めます。ベトナムではクレジットカードの保有率が低く、キャッシュレス決済(電子決済)の普及はまだまだこれからと言えます。

ベトナムにてECビジネスを展開する場合、代金引換システムの導入が必要になることを頭に置いておいてください。

しかし、ベトナム政府は積極的に電子決済の導入を推進しています。

詳しくは以下の記事をご参照ください。

🇻🇳ベトナムのキャッシュレス化はどのように進んでいる?〜ベトナムの電子決済を知ってインバウンド対策〜

 

ベトナムで電子決済利用者が増えるとともに、今後さらなるEC市場の拡大が見込まれます。

 

②キャンセル率が高い

ベトナムのEC市場の特徴として、キャンセル率が高いということが挙げられます。

EC購入者の約35%がキャンセルの経験があると答えており、

キャンセル理由としては

  1. 商品の欠陥のため
  2. 購入後の心変わり
  3. 写真と実物が異なるため

などが挙げられています。

ベトナムでECビジネスを行う場合、商品のクオリティはもちろんの事ですが、商品到着までに時間がかかってしまうと購入者の気が変わってしまうユーザー起因のキャンセルの可能性があるため、より早く商品を届ける必要があります。決済方法として代引きを利用している消費者が多くを占めているため、到着するまでの間にキャンセルしやすいのもキャンセル率の高さの一因となっているようです。

 

③商品の確認をしてから支払いをする

ベトナム人の購入者は、商品到着後、支払い前に商品の確認をします。ECで注文した商品と、実際に届いた商品が同じものかどうかを確認し、商品に問題が問題なければ支払いをします。これは、製品やサービスに対するベトナム人消費者の信頼の低さが現れています。

支払い方法で代引きを選ぶのもこういった理由があります。

 

④Facebookからの購入率が高い

ベトナムのSNS利用者は2021年1月時点で約7200万人(総人口の73.7%に相当)。スマートフォンユーザーのうち、90%がSNSを利用しています。

ベトナムでは特にFacebook、YouTubeの利用率が高く、それにチャットアプリのZalo、Instagramなどが続きます。

日本ではAmazonや楽天など、大規模ECプラットフォームからの購入が多くを占めていますが、ベトナムではFacebookを通じたオンラインでの購入が一般的です。Facebookから商品ページの誘導や、Messengerでの注文対応も行なっています。

 

ベトナムの都市部におけるEC利用率は67%で、このうち47%がFacebookからの購入となっています。ベトナムではFacebook広告における市場規模が非常に大きいのが特徴です。

ベトナムEC市場では、SNSを活用した戦略が必要になってきます。

各SNSプラットフォームにおけるインフルエンサーの活用も、ベトナムEC市場において攻略の鍵となります。

 

⑤女性はファッション関連商品・化粧品、男性は電化製品の購買率が高い

 

ベトナムEC市場において、女性はファッション関連商品や化粧品の購入の割合が非常に高く、男性はIT機器(カメラ、電化製品)の購入が高くなっています。

日本や韓国の化粧品、日本製のカメラなどがEC市場で人気です。ファッション・美容関連の購入は、SNSからの流入が非常に多くなっています。

 

ベトナムで人気のECサイト3つ

 

 

ベトナムEC市場のトップ3はShopee(ショッピー)Tiki(ティキ)Lazada(ラザダ)です。

 

Shopee.vn(ショッピー)は、シンガポールに本社を構えるSea Limitedにより運営されています。

プラットフォームを常に改善することを目指しており、東南アジアおよび台湾では多くの人に選ばれています。家電製品から家庭と生活、健康と美容、子供のおもちゃ、ファッション、スポーツ用品まで幅広い製品を取り揃えており、価格も低いことから、シェアが拡大しています。

 

Tiki.vn(ティキ)は、日本のサイバーエジェント・ベンチャーズが投資したことでも知られています。

Tikiでは、24時間対応、2時間以内で配達可能な速達配送サービス「TikiNow」、送料無料、30日以内であれば、返品が可能など、サービス面にも力を入れており、顧客対応サービスと製品の品質で人気があります。Tikiで販売されている製品は厳しく検閲されているため、品質が高く、不良品が少ないと言われています。

 

Lazada.vn(ラザダ)は中国のアリババが運営を行なっています。

マーケットプレイス方式を採用しており、直販の商品だけでなく、個人出品ができる事も特徴です。

支払い前に商品を実際に確認出来ることや、商品の返品交換期間が14日以内、さらに特別な商品の返品交換期間が最長30日と長いことも他のサイトと比べた際のメリットとして挙げられています。

健康と美容、インテリア装飾、ファッション、携帯電話、タブレットから家電製品に至るまで、数十万もの製品を取り扱っています。

 

 Shopeeは価格と商品の品揃えで利用シェアが拡大中。一方でTikiは品質や顧客対応などでイメージの向上が見られます。

 

コロナ禍で増加するECユーザー、拡大するEC市場

 

新型コロナウイルスにより行動制限が課せられた多くの国で、キャッシュレス決済やECの普及が進んでいます。

新型コロナウイルスの流行で、ベトナムでも従来のオンラインショッピングの担い手であった若年層だけでなく、40代以降の中高年がオンラインショッピングを利用するようになりました。

ベトナムでは、生鮮食品のEC販売のトラフィックは2020年前半に+42%となりました。ロックダウン中は特に生鮮食品の需要が高くなっており、4月中旬ごろにLazadaは注文から2時間以内に生鮮食品を配達するサービスを開始。その1カ月後にはTikiも3時間以内での食料品配達サービスを開始しました。ユーザーの需要に素早く対応できたことが利用者が急増した理由の一つと考えられています。

 

今後のベトナムECマーケット

 

東南アジア地域全体でEC市場が拡大していますが、ベトナムは東南アジアの中でも最もEC市場が成長している国となっています。

ベトナム電子商取引協会(VECOM)によれば、ベトナムにおけるEC売上高は2019年に100億USD規模に達しており、2019年時点でオンラインショッピングを利用する国民は4480万人。こちらも年々増加を続けています。

今後の成長規模の見通しとして、2025年までにベトナムのEC市場は430億USDまで拡大すると予測されています。

 

ベトナムは東南アジア域内で3番目の規模のEC市場になる見通しとなっています。

 

ベトナムで人気の日本製品

 

日本製品は、品質が良く、安心安全というイメージがあるため、少し高くても良いものを買いたいという30~40代の方に人気が高くなっています。ベトナムで人気の日本の商品は、化粧品や食品、サプリメント、ベビー用品などです。

化粧品に関しては新型コロナウイルスの影響で売り上げの伸びが弱まってはいるものの、継続して売れています。日本の化粧品ははベトナム人の肌に適しているため、日本製の化粧品を好んで使っているベトナム人は多くなっています。

最近は新型コロナウィルスの影響もあり、いつも以上に健康を気にする方が多いので、サプリメントなど健康関係の商品ニーズが高まっているようです。

ベトナム人は子供に安全・安心・高品質のものを与えたいという気持ちが強いため、日本のベビー用品は人気があります。

 

日本企業のベトナムECマーケットへの進出

 

日本企業のベトナムでのEC出店はまだまだ少数と言えます。その理由として、ベトナムの税関の複雑さが挙げられます。ベトナムでは商品輸入の際に、文書でも管轄省の許可が必要となるため、必要書類が膨大となる場合があるのです。さらに販売商品によっては、販売許可や認証などが必要とされるため、販売までの時間もかかります。

 

 

ベトナム政府はデジタル経済の発展を積極的に支援しており、外国企業からの投資を歓迎しています。日本企業を含め、多くの国内外の企業が関心を寄せているベトナムのEC市場は今後も目が離せません。

 

EC市場の発展に欠かせないベトナムの電子決済の普及状況などについては以下の記事からご確認ください。

 

ベトナムのキャッシュレス化はどのように進んでいる?〜ベトナムの電子決済を知ってインバウンド対策〜

 

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