新型コロナウイルスの影響で、現在訪日観光客はほぼゼロの状態が続いています。しかし近い将来、必ず訪日外客は回復します。
コロナ禍以前は、訪日外客数の伸び率No.1であったベトナム。
コロナ禍が落ち着いた後は、また多くのベトナム人が日本を訪れてくれるでしょう。その前にぜひベトナム人の旅行事情を知っておいて欲しいのです。アフターコロナにスタートダッシュを切るためには、今は大切な種まきの時期。ベトナム人の訪日旅行事情を知って、今からインバウンド対策を始めましょう!
ベトナム人は旅行情報をどうやって収集している?
ベトナム人が外国旅行をする際の情報源は以下の通りです。
SNS(73.1%)
知人(51.7%)
トラベルブロガーの動画・記事(51.5%)
目的地の公式ウェブサイト(45.2%)
ベトナムではスマートフォン使用率がとても高いことが特徴で、SNSが国民に広く普及しています。「2020 年ベトナム人旅行トレンド調査」によると、一般消費者が旅行の情報検索・予約をする際、スマートフォンが活用されているということもわかりました。
また、ベトナムの国民性として友人知人からの情報(口コミ)が重要である、ということが挙げられます。
SNSの普及と口コミ文化がベトナムのマーケットにアプローチする際の重要なポイントとなってきます。
ベトナム人が常用している SNSは、Facebook、Zalo、YouTube、Instagram、Tik Tokなど。多くの人がSNSや旅行系のブログなどを参考に、著名人や友人・知人が訪問した外国の旅行先の情報を入手しています。SNSでの反応が良い場所、つまり「SNS映え」する場所は、若年層を中心に国内外を問わず人気となっています。日本の桜や紅葉、雪景色などは「SNS映え」の最たるものです。SNSに載せる写真を目的に旅行する人も多くなっています。
ベトナム人のインターネット事情を知るには以下の記事をご参照ください。
🇻🇳ベトナム人集客には何が効果的?〜ベトナムのインターネットとSNS事情を知ってインバウンドマーケティングに活かす〜
🇻🇳ベトナム向けマーケティングの基礎知識 世界で1億ユーザー突破!ベトナムで人気のコミュニケーションアプリ「Zalo」とは?
ベトナムの特徴的な旅行「インセンティブ旅行」
ベトナムの多くの企業では、優秀な人材の確保や社員の定着率を上げる施策の一つとして、会社が主催する「インセンティブ旅行」を行なっています。
インセンティブ旅行は費用の大部分を企業側が負担するため、参加者の旅行中の消費額が一般の旅行に比べて高額であることが特徴です。
インセンティブ旅行の行き先の上位は以下の通りです。
第 1 位 韓国
第 2 位 日本
第 3 位 ヨーロッパ
第 4 位 タイ
第 5 位 台湾
ベトナム人の訪日時期は春、秋が多くなっており、インセンティブ旅行も同時期の開催が中心です。まだまだゴールデンルートのツアーが多くなっていますが、他の一般旅行との差別化を図るため、北海道や九州などもインセンティブ旅行先として注目されてきています。
ベトナム発海外旅行の価格
ベトナム人の訪日旅行には査証が必要であることに加え、2010年代初頭までは4日間~ 6日間で1,500USD~ 2,000USDが訪日旅行の相場となっており、外国旅行の中では高額の部類に属していました。
また、高い旅行費用に加え、日本の物価が高いとの理由から、高額な旅行先であるという認識がありました。
◾︎ベトナム発 外国旅行先価格
旅行先 | 期間 | 価格(VND) | 円換算(万円) |
欧州 | 10日間 | 5799.0 | 27.8 |
米国西海岸 | 7日間 | 5399.9 | 25.9 |
南アフリカ共和国 | 8日間 | 5380.0 | 25.8 |
オーストラリア | 7日間 | 4399.0 | 21.1 |
日本 | 5日間 | 3090.0 | 14.8 |
韓国 | 5日間 | 1099.0 | 5.3 |
シンガポール | 4日間 | 899.9 | 4.3 |
台湾 | 5日間 | 899.9 | 4.3 |
タイ | 5日間 | 599.0 | 2.9 |
出典:JNTO ハノイ事務所調べ(2020 年 7 月の旅行会社ウェブサイ トなどから抜粋)
※1 ドン =0.0048 円で換算
上記の表から、訪日旅行はアジア諸国より高く、遠距離の米国や欧州などとの間の価格帯となっていることがわかります。
韓国や台湾などは、ベトナム人観光客誘致のため、査証取得の緩和措置を進めたり、インセンティブ旅行の支援や旅行会社への金銭的支援なども行なっています。ベトナム人観光客の消費額にも期待しており、ベトナム国内に観光局の事務所を設置するなどして積極的な活動を展開しています。
ベトナム人が訪日旅行に望むこと
◾︎日本旅行で体験したいこと
第 1 位 日本食を食べる
第 2 位 ショッピング
第 3 位 桜(花見)
第 4 位 日本の大都市を歩く
第 5 位 雄大な自然観賞
訪日ベトナム人はショッピングを楽しみにしています。日本製品の人気はとても高く、日本で本場の日本製品を購入するのを訪日旅行の目的にしている人が多くいます。家族・親戚・友人・知人が 日本に行くと聞いたら、欲しい物のリストを渡して買ってきてもらいます。
人気の品目は、衣料品、 化粧品、家電、サプリメント、ベビー用品、中古のスマートフォン、温水洗浄便座など。
ベトナム人は100円ショップ、ドラッグストア、ディスカウントショップで大量にお土産を購入することが多いです。
ベトナム人が訪日旅行で不安なこと
◾︎訪日旅行に行かない理由
第 1 位 言葉が不安
第 2 位 査証取得
第 3 位 価格
ベトナム人の訪日旅行のハードルとして、上記の理由が挙げられています。
査証の取得が必要になるため、手続きが面倒と感じる人も多くいます。また、日本への旅行は決して安い価格ではないことと、日本現地での物価の高さが不安材料となっているようです。
また、日本ではベトナム語はもちろん、英語が通じない、と思われているため、言語面での不安が大きいようです。
ベトナム人の訪日旅行を受け入れる際に注意すること
・無料Wi-Fiの整備
ベトナムの国内には無料Wi-Fiが溢れており、人々は日常的にそれを使用しているため、日本でWi-Fiに繋げられる場所が少ないことを不満に思います。無料 Wi-Fiの整備は、外国人受け入れに必須です。接続方法(パスワードなど)をわかりやすく表示するなど工夫しましょう。SNSに写真や動画をアップすることを旅行の目的とする若者も多いため、インターネットの接続や携帯電話の充電ができないと、 旅行者に不満を与える原因となります。
・長時間歩くことを苦手とする
ベトナム人はバイクでの移動を主な移動手段としています。すぐそこの距離でもバイクに乗って移動するため、長時間歩くことに慣れていません。屋外で長距離、長時間の徒歩観光を行うと、疲れたと不満が出やすいことも念頭に置いておいてください。
・自由時間をしっかり確保する
ベトナム人は日本でのショッピングをとても楽しみにしています。ショッピングの時間をしっかりととっておかないと不満を感じますので、ショッピングの時間はしっかりと確保してあげてください。また、SNS映えする場所での 写真撮影の時間も重要です。写真を撮ることを目的に旅行に来ていると言っても過言ではありませんので、写真撮影のための自由時間が十分でなければ、日本に来た意味がないとさえ考えてしまいます。
ベトナム人のSNS好きは特筆すべき事項です。
・クレジットカード保有率が低い
ベトナムのクレジットカード普及率は決して高くありません。クレジットカードを所持していない旅行者がほとんどです。そのため、訪日ベトナム人は多額の現金を持ち歩くことになります。ベトナムではほとんど硬貨が使用されていないため、日本で硬貨の取り扱いに苦労するようです。日本では両替所が少ないため、両替所の案内もしっかりしてあげましょう。
ベトナムではスマートフォンによるモバイル決済が普及しつつありますが、ベトナムのモバイル決済はまだ日本では利用が出来ないので、今後対応が進むことが期待されます。
・日本の食事
ベトナムの食事は野菜がたっぷりです。日本の食事は野菜の量、種類が少ないと感じるようです。
丼もの単品での食事よりも、複数の料理が出ることが望ましいでしょう。また、日本食は味が濃すぎると感じる人も多いようです。初めての訪日では、食べ慣れないラーメンやカレーなどを苦手とするベトナム人もいます。日本料理の店はベトナム国内にも多くあり、認知もされていますが、普段食べ慣れていない刺身や生物、脂っこい料理を連続して出すことは控えてあげてください。
果物を好むベトナム人が多いため、果物を購入できる場所を教えてあげると喜ばれます。
ベトナムの旅行業界における新型コロナウイルス感染症の影響
ベトナム統計総局の発表によると、新型コロナウイルス感染症の影響により2020年の失業率は2.48%となっています。 15 歳以上の労働者 3,000万人以上が新型コロナウイルス感染症の影響を受け、そのうち約70%は収入が減り、約40%は労働時間が減り、約14%は失業に見舞われたとなっています(複数回答)。
新型コロナウイルス感染症の影響で旅行会社も経営危機に陥っており、失業した旅行会社の外国旅行担当者も多いようです。
しかし訪日旅行の人気は変わらず高く「1年以内に訪日旅行をしたい」と答えた人は80%、「3年以内に訪日旅行をしたい」と答えた人は60%となっていました。インバウンドが回復したら、ベトナムは大きなターゲット国となります。
2019年 ベトナム人の都道府県別訪問率(観光・レジャー)
訪日旅行の回復後は、ゴールデンルートよりも新しい旅行地の商品を販売したいという声も多くあります。アフターコロナには地方を訪問する旅行商品の造成が増加することも期待されます。インバウンド対策として今から地方観光地のPRを始めておきましょう。
データ出典:JNTO 日本の観光統計データ
ベトナム人のニーズを知ることで、アフターコロナの対策が見えてくるかもしれません。
こちらの記事もご参照ください。
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