知っているようで知らない?!「外国人技能実習制度」〜在留ベトナム人はどんな制度で働いているの?

 

ニュース等で「技能実習生」という単語を耳にする機会が増えましたが、実際にどのような制度なのかご存知ですか?

どんな制度で、どんな人がその制度を利用しているのか、どんな人が働いているのか、そしてどんな問題点があるのか…。

単語は耳にしているからなんとなく知っているような気がしますが、実際にはよくわからない技能実習制度。

今回は、技能実習制度について詳しく見ていきましょう。

 

技能実習制度とは

 

「技能実習制度」とは、発展途上国の若者を技能実習生として日本企業が受け入れ、実習生が仕事を通じて技術や技能・知識を学び、母国に帰国後、日本で学んだ知識と経験を自国の経済発展に役立てることを目的とした制度です。 

 

外国人の労働者を一定の期間、日本国内で技能実習生として雇用し、多様な分野の技能を修得してもらう制度、それが「技能実習制度」です。

期間は最長5年間。技能実習生の受け入れ可能な業種は指定されています。

 

日本で働くベトナム人技能実習生の増加

 

日本で働くベトナム人は2019年10月末には40万1326人。前年同期比+26.7%増という伸び率です。

国籍別に見ると、ベトナムからの労働者は、外国人労働者数全体の24.2%に当たります。

そのうち、ベトナム人労働者数全体の48.3%にあたる19万3912人が「技能実習」のビザで入国しています。

2015年までは中国人技能実習生が多かったのですが、中国の経済発展に伴い、中国からの技能実習希望者の減少や、ベトナム人の気質が日本人に合うといったことなどから、急速にベトナム人技能実習生が増加してきました。

伸び率も他の国を圧倒しており、まだまたベトナムからの技能実習生は増えていきそうです。

 

ベトナム人が日本で働く理由

 

①給与が高い、お金を稼ぎたい

 

日本の新卒月給は約18~20万円前後ですが、ベトナムでは約3万円前後です。まだまだベトナムと日本の経済力の差は大きく、日本で高額の給与を得ることを夢見るベトナム人も多いのです。やはり日本で働く最大の理由はお金でしょう。

 

②日本の先進技術を学びたい

ベトナムの経済の発展は目覚ましいものがありますが、新興国のため、自国の製造業とその裾野産業はまだ発展途上の状態です。最近はベトナムブランドの自動車やスマートフォンが国内で開発・販売されてきていますが、それまではベトナム産ブランドの製品は多くありませんでした。そのため、品質の高さで知られる日本で先進技術を学びたいと思っている若者が多いのも特徴です。

 

③日本語学習のため(日本語が出来ると給与が上がる)

 

日本語が出来ると、ベトナムでの給与がUPします。待遇が良いとされている日系企業への就職も叶うかもしれません。給与を得ながら日本語を習得することができるため、日本で働きたいと希望する若者も多くいます。

 

④親日国であり、日本に対する印象が良い

 

ベトナムは、世界でも大の親日国であると言われています。

ベトナムでは、日本製品は高品質であると認められており、日常の足であるバイクをはじめ、家電製品から化粧品、サプリメントやベビー用品まで、多くの人々に支持され信頼されています。

また、日本からベトナムへODAなどの国際援助が多いため、ベトナム人にとって日本は自国を援助してくれる国であるという意識もあります。

 

⑤環境の良いところで働きたい、生活したい

 

日本は社会保障制度や企業の福利厚生制度が整っており、労働環境や生活環境がベトナムより整っていると言われています。高い生活水準への憧れも日本で働く理由の一つです。

特にベトナム人女性は子供の教育環境、生活環境を重要視しており、空気がきれいで教育制度がしっかりしている日本で長期的な生活を考える人も多いのです。

 

技能実習制度で日本で働くには

 

技能実習生として日本で働くには、まず「送り出し機関」に登録をします。

送り出し機関で日本語の教育、実技のトレーニング、文化や習慣の研修などが行われ、試験に合格して来日、日本でも1〜2ヶ月ほど研修が行われ、その後技能実習がスタートします。

 

流れとしては

 

送り出し機関(母国)→監理団体(日本)→受け入れ企業(日本)にて技能実習生として働く

 

となります。

 

送り出し機関とは

 

送り出し機関…日本に技能実習生を派遣する団体や企業のこと。実習生の国や地域などの公的機関から推薦を受けた団体・企業のみが「送り出し機関」になれます。

技能実習生の募集、選抜、教育、ビザの申請、送り出し、技能実習中のケア、帰国後のフォローアップなどを行います。

監理団体は送り出し機関と契約を結び、集められた候補者の中から受入企業の希望とマッチした人材を確保します。

 

監理団体とは

 

監理団体…外国人労働者を受け入れるための日本の機関。送り出し機関から送り出された技能実習生を預かります。監理団体は、送り出し機関と契約を結び、連携をとります。監理団体になれるのは、商工会、企業団体、公益法人などの非営利団体のみです。

監理団体は

①技能実習生が企業で適切な業務(技能実習)につけているかどうかを監理、指導

②正しい技能実習制度を世の企業、送り出し機関に周知

③技能実習生を雇用した企業を3ヶ月に1度監査し、それを入国管理局に報告

主にこの3つのことを行います。

 

技能実習生の給与

 

日本で外国人を雇用する時の賃金設定には「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」という国が定めた条件があります。

特別な理由なしに日本人と差をつけることは法律違反です。ベトナム人労働者を募集する際には、従事する業務の内容および賃金を含めた労働条件を明示しなくてはなりません。採用時には労働条件に関する書面の交付が義務付けられており、これに違反した場合、罰金が科せられることがあります(労働基準法第15条による)。

 

技能実習制度が抱える問題

 

日々のニュースで技能実習生の問題を耳にしたことがあるのではないでしょうか。

全てがそうではありませんが、問題として取り上げられることは以下のようなことです。

 

①ベトナム人が送り出し機関に支払う法外な費用

ベトナム人技能実習生が送り出し機関に払う法外な金額が問題になっています。ベトナムの大卒初任給が3万円程度であるのに、日本への渡航に必要な費用として100万円を超える金額を要求するところもあるのです。多くの実習生候補はこの渡航前費用を支払うことができないため、多額の借金をして日本に来日します。さらに、保証金や違約金の契約を結び、家族などを保証人に入れさせられるケースも存在します。

 

②劣悪な職場環境 低賃金、残業代未払い、長時間労働などの問題

 

外国人技能実習制度において「賃金」と「労働時間」が問題となることが多いです。

技能実習制度においても、日本人と同じ雇用条件が義務付けられており、賃金は最低賃金以上、労働時間も原則として1日8時間、週40時間までとなっています。もちろん時間外労働や深夜勤務、休日勤務には割増賃金が支払われなければいけません。

しかし実際にはこれらが守られない事態が頻発しており、実習先によるタイムカードや勤務記録の改ざんなどが行われているケースがあります。

 

③技能実習生に対するパワハラやセクハラ、労災隠し

 

実習生に対して、暴行や脅迫、セクハラが行われたり、パスポートや在留カードを強制的に預けさせるなど、人権侵害も問題となっています。

 

④技能実習制度では劣悪な職場でも転職ができない

 

技能実習制度では、転職が認められていません。そのため、運悪く劣悪な職場環境に配属されてしまった場合、帰国するまで過酷な労働を強いられてしまいます。多額の借金をして日本に来ている人がほとんどですので、借金の返済前に帰国することはできず、過酷な状況の中、我慢をして働くことになります。

 

⑤技能実習生の犯罪、失踪

 

警察庁によると、2017年の外国人技能実習生の検挙は1642人、2020年は2889人。年々増加の傾向です。実習生の失踪も相次いでおり、法務省によると、2017年の技能実習生の失踪者数は7089人にもなりました。

 

技能実習生の多くは勤勉で、日本で稼いだお金で母国に帰ったら商売をしたい、家族に仕送りをしたい、日本の技術を学びたい、といった純粋な思いで来日します。

しかし、現在の技能実習制度には様々な問題があるようです。

日本経済にとって日本で働いてくれる外国人労働者は欠かせません。日本人と外国人がお互い助け合える環境を作っていくためには、現状を知り、知識を得て、問題に真摯に向き合うことが必要となってきます。

 

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