ベトナムに対するビジネスを進めるには、まずはベトナムという国を知ることからスタートです。
不動産の動きはその国の経済状況を反映します。ベトナムでのビジネスを考えるなら、ベトナムの不動産について知っておくのも大切です。
ベトナムは世界でも5か国しかない社会主義国。社会主義国ということで、不動産についても他国とは異なる点があるでしょう。
私たちは社会主義国であるベトナムで不動産を購入できるのかどうか、ご存じですか?
今回は、ベトナムの不動産についてお伝えしていきます。
社会主義国のベトナムで、不動産の購入は可能?
ベトナムは世界で5つだけの社会主義国。社会主義国というと、自由主義経済が制限され、政府主導の経済となるイメージですが、ベトナムはドイモイ政策から市場経済の導入が始まりました。
ドイモイ政策についてはこちらの記事をご覧ください。
「土地は全人民の所有に属する公財産であり、国が所有者を代表して統一的に管理する」と規定されていることから、土地の所有権については認められていません。
ベトナムの土地は基本的に「国のもの」なのです。
ベトナムの土地は国のものですので、ベトナムで不動産を購入する場合、国から土地使用権証書(レッドブック)の発行を受け、土地の「使用権」を得ることになります。
外国人はベトナムの不動産を購入できる?
2015年7月1日、ベトナムの改正住宅法が施行され、外国人でも不動産の購入が可能となりました。
外国人の場合、土地使用権の期間は50年間と定められています。ただし、1回に限り50年間の延長が認められており、実質的には最大で100年間まで所有が可能です。
外国人が購入可能な不動産物件
外国人がベトナムで購入できる不動産には一定の条件があります。
・デベロッパーによる住宅建築プロジェクトにおいて新規開発されたコンドミニアムやヴィラなどに限定
外国人が不動産を購入できるようになったといえども、全ての不動産が外国人による購入が可能というわけではありません。各プロジェクトごとに外国人への販売許可を取得しているかどうかを確認する必要があります。
・外国人は中古のベトナム不動産を購入不可(ただし、外国人が所有している中古物件であれば購入可能)
外国人から中古のベトナム不動産を購入する場合は、所有期間について前所有者の経過期間を引き継ぐことになります。(つまりすでに10年経った中古物件ならば、残りの40年しか保有できない。ただし、1回のみ50年の延長可)
外国人はベトナム不動産に購入制限がある
・ 集合住宅(コンドミニアムなども含む)の場合、外国人が購入できる物件は、全戸数の30%以下
・テラスハウス・一戸建て住宅の場合、外国人が購入できる戸数は、1街区につき250戸以下
上記の条件から、1棟買いや、大規模開発された住宅をすべて買い占めるような購入は不可となっています。
新築マンションを購入しようとした場合、そこのマンションがすでにほかの外国人により全体の30%分購入されていると、空きがあったとしても購入は不可です。
ただし、ベトナム人配偶者がいる外国人は、ベトナム人同様に不動産を購入することができます。
ベトナムの不動産を購入する際の資金について
ベトナムで住宅を購入する場合、原則としてベトナムに銀行口座を開設する必要があります。
購入金額の支払い、賃料の受け取り、売却代金の受け取りなど、不動産にかかるお金のやり取りはベトナムの銀行口座で行う必要があります。
法律上は外国人がベトナムでローンを組むことが可能とされていますが、ほとんどの金融機関では、住宅ローンを含め、外国人個人に対するローンの取扱いは積極的には行われていないのが現状です。
また、ベトナムの金利が高い事も問題です。仮に住宅ローンが組めたとしても金利が10%前後もあるため、外国人がベトナムでローンを組んだ上で物件を購入するのは実際には難しいでしょう。
・ベトナム現地の銀行口座
・十分な資金
が必要です。
不動産購入の流れ
①不動産エージェントに問い合わせ
②物件の視察
基本的に新築物件の購入になるため、まだ出来上がっていない物件が多いです。
モデルルームや模型を見て購入を決めることになります。
③購入申し込み
先着順もしくは抽選で購入権を得ます。
④予約金(デポジット)の支払い
ベトナムでは、正式販売開始時に、抽選会が行われます。多くの購入者は、抽選会の前に予約金を支払い、抽選会は物件を早い者勝ちで選ぶ権利を獲得します。予約金の額は、物件により異なりますが、1口50,000,000VND〜、高級物件だと200,000,000VNDとしているケースが多いようです。(だいたい日本円で約20万円~、高級物件ですと100万円くらいです)人気プロジェクトの場合には、当選確率を上げる為に何口も予約金を納める人もいます。
抽選会にて当選した場合は、初回の物件購入代金の支払いから予約金で納めておいた金額が差し引かれます。
抽選に外れてしまった場合は、予約金は返金されます。
⑤売買契約
売買契約書にサインをします。
⑥支払いスタート
予約から数日~1週間後より、分割支払いが開始されます。第一期の支払いは、売買代金の30%を超えてはならないと規定されています。
建物の完成までに、建物の建設状況に伴って支払が進められます。
⑦物件引き渡し
物件完成時に物件の引渡が行われます。引き渡しの際、売買契約書に規定される品質基準、内装の標準を満たしているか確認し、引渡完了書にサインをし、引き渡しを完了します。
⑧ピンクブック(土地使用権・資産所有権証明書)発行
ピンクブックと呼ばれる権利書が発行されます。
不動産にかかる税金
不動産の取得時には、10%の付加価値税(VAT)が課されます。通常は買主が負担します。
外国人がベトナムで不動産を購入する際の注意点
ベトナムでは、土地使用権証書(通称:レッドブック)と建物所有権利書(通称:ピンクブック)という、不動産取得時に必要な権利を証明する制度があります。これらが発行されないと、お金を支払っただけで、なんの権利も持っていないことになってしまいます。レッドブックとピンクブック、どちらも重要な証明書です。引渡しから証明書の発行まで、時間がかかることがあります。
購入に際しては、デベロッパーから直接、もしくは外国人所有の物件しか購入できません。ベトナム人所有の物件は買えません。また、コンドミニアムなどは外国人が所有できる戸数に制限があります。物件を購入する場合は、外国人が保有できるか確認する必要があります。
ベトナムで不動産を購入する場合、原則、ベトナムに銀行口座を開設する必要があり、購入金額の支払い、賃料の受け取り、売却代金の受け取りはこの口座で行う必要があります。
購入した物件を賃貸に出す
個人名義で不動産を購入した場合、賃貸に出すことが可能です。外国人でも個人で物件を購入して、家賃収入を得ることができます。
しかし、ベトナム国内の法人名義で購入した物件の場合は、用途が社宅用に限定されてしまいます。そのため、法人名義で購入した物件を賃貸に出すことはできません。
ただし、ベトナム国内で不動産事業免許を保有する法人であれば、賃貸収入を得ることができます。(その場合は資本金約1億円が必要)
上記の理由により、ベトナムで法人が住宅を賃貸するには条件が厳しいため、投資目的でベトナム不動産を購入する場合は、個人名義で購入をすることをおすすめします。
個人名義で購入する場合は賃貸に出すことも可能です。
用途をしっかりと考えて購入しましょう。
購入した不動産をどのように使用するか
物件購入、引き渡しが無事に済んだら、用途の取り決めが必要になります。
・住居用…滞在許可書が必要。購入住居地域管轄の公安に、住居申請手続きを提出して許可を取れば、住居として使用することができます。
・賃貸用…購入住居地域管轄機関に賃貸許可申請書を提出。受理された後、賃貸として運用が開始できます。同時に、ベトナム政府公認領収書(レッドインボイス)の発行許可も行い、入居者に対しては住居時と同じく、所轄の公安に入居者申請を行います。
賃貸許可申請を行わないで賃貸業務をした場合、罰則と罰金が科されるので注意しましょう。特に外国人の場合は罪が重く、強制国外退去もあり得ます。
開発が進むベトナム不動産
ベトナムでは数多くの不動産開発が行われており、富裕層や外国人駐在人の居住を見込んだ最高級コンドミニアムから、現地中流層に向けた中級アパートメント、そして低所得者でも購入可能な物件など、様々な物件があります。
いかがでしたでしょうか?
社会主義国といえども、ベトナムは比較的外資に対して開かれた経済となっています。
ベトナム現地でビジネスを考える場合、不動産は避けて通れません。
ベトナムについての知識を得ることから、インバウンド、アウトバウンド対策がスタートです。
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