コロナ禍で困窮…在留ベトナム人留学生の状況

 

コロナ禍でも母国に帰国せず日本に住むベトナム人は多くいます。

技能実習生や特定技能ビザで働く人、家族滞在や学生など、コロナ禍でも母国に帰国することなく、日本に滞在して夢を叶える努力をしている人々。

私たち日本人でも大変な時期ですが、母国以外で暮らす在留外国人の方々はもっともっと大変な思いをしていることでしょう。

今回は、公益社団法人ベトナム協会と在日ベトナム学生青年協会が日本に住むベトナム人学生572名に調査した結果をご紹介します。

日本に住むベトナム人学生たちはどんな生活をしているのか、どんなことに困っているのか。

私たちが知らない、在留ベトナム人学生の状況をお伝えします。

 

今回の調査対象者

 

在留ベトナム人学生572名

うち

大学生 325人

大学院 33人

専門学校 129人

日本語学校 85人

 

今回の調査対象者が住んでいる地域

 

東京都 38%

埼玉県 11.3%

千葉県 8.6%

大阪府 7.7%

福岡県 4%

京都府 4%

神奈川県 3.5%

愛知県 3.3%

…など

 

今回の調査は首都圏在住の留学生が多かったようです。

 

調査対象者の現在の住まい

 

アパート 389人(67.95%)

学生寮 103人(18.04%)

シェアハウス 52人(9.11%)

マンション 14人(2.45%)

その他 14人(2.45%)

 

現在のアルバイト状況

 

コロナ禍以前のアルバイト状況と比べて…

 

同程度のアルバイト収入を得ている 24.52%

アルバイト収入が3割くらい減った 23.12%

アルバイト収入が半分くらい減った 19.79%

アルバイト収入が7割くらい減った 15.24%

現在アルバイトをしていない 15.06%

 

これらの結果から、留学生のアルバイト収入が大幅に減少していることがわかります。留学生のアルバイトは飲食店やコンビニが多く、特に飲食店でアルバイトしていた留学生は大きなダメージを受けているようです。

 

コロナ禍現在のアルバイトの収入金額

 

月10万円以上 23.12%

月8万円以上  25.97%

月5−7万円  21.02%

月1−4万円  14.36%

収入無し  14.54%

 

約3割の留学生が収入無しもしくは5万円以下の収入となっています。

 

アルバイト収入が減ってしまった分は、生活費の節約、食費の節約はもちろん、親からの仕送り、奨学金、友達からの借金などでまかなっているようです。

 

 

アルバイトで得た収入の使い道は、学費

 

ベトナム人留学生がアルバイトをする理由の第一位は学費のため。

学費の支払いをアルバイト代でまかなう人が多いのです。

仕送りを十分にもらえる人が全てではないので、多くの留学生は家賃や生活費もアルバイト代でまかなっているようです。

学費や生活費は必要なお金です。アルバイトができなるくなる、もしくはアルバイト収入が減ってしまうということは、留学生活の困窮に直結するということです。

 

コロナウイルス感染症の影響で困っていること、不安に感じていること(複数回答)

 

①アルバイトができないため、生活が不安 53.5%

②就職活動ができずに不安 43.6%

③学費が支払えるか不安 44.8%

④友人とのコミュニケーション不足で学生生活が不安 28.2%

⑤授業が始まってもついていけるか不安 28%

⑥休学や退学を考えている 15%

 

コロナ禍での不安は、日本人学生も留学生も同じかと思います。母国を離れての生活困窮は大きな不安となるでしょう。相談できる相手が側にいるかどうかも心配です。

 

日本に留学するために借金をしましたか

 

ベトナム人留学生572名中

 

借金はない 324人

100万円以上借金をした 83人

50−100万円の借金をした 81人

50万円以下の借金をした 84人

 

金額の差はあれど、43%の248人が日本に留学するために借金をしているようです。

 

借金の返済があるため、アルバイトも貴重な収入源となります。

 

現在必要と感じている支援(複数回答)

 

生活費の援助 65%

奨学金の拡大 63%

学費の軽減または免除 59%

アルバイトの紹介 33%

 

留学生たちの意見

 

オンライン授業なので、学費を減らしてほしい

奨学金制度の拡充

2回目の10万円の給付金を希望する

授業料の減額もしくは免除

外国人のための就職支援制度を充実させてほしい

留学生に対して税金、保険料を軽減してほしい

生活補助がほしい

生活必需品や食料の支援が必要

無利息でお金を借りられるプログラムがあればいい

財政的支援がほしい

オンライン授業だけでは理解が深まらない

 

…など

 

※今回の記事は公益社団法人ベトナム協会と在日ベトナム学生青年協会の調査データを元にしております。

出典元:公益社団法人ベトナム協会 http://www.javn.or.jp/

 

在留ベトナム人学生の状況は、コロナ禍で厳しいものとなっています。

コロナ禍でアルバイトが減り、生活費はもちろん、学費の支払いにも困窮する人たちが増加しています。

日本に憧れ、日本語を学びたいと夢を持って来日した留学生たち。学費が払えずに、その夢が志半ばで途絶えてしまう人も少なくありません。

 

1日も早く、このコロナ禍が収束することを願います。
留学生に向けた支援も考えられたら、と思います。

 

日本で学び、日本で働く在留外国人学生の現在、そしてこれからを知ることは私たちの生活にも関係してきます。

現状を知り、そこから何かを感じ、考える。そしてこのコロナ禍でもより良い方向に動くよう行動を起こせたら。

今後もLocoBeeは日本とベトナムを繋ぐ架け橋となるべく努力していきます。

 

こちらの記事もご参照ください。

【在留ベトナム人の日本国内旅行意識調査】コロナ禍の今、日本に住むベトナム人はどんな旅を求めている?

 

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